要件を満たす保険 加入
従業員一人一人にとって、成果主義や報酬へも反映する間違いやミスの報告という非常にデリケートな問題をどう現実させていけばよいのだろうか。
さらに重要なことは、ミスを犯したということに対してペナルティを課さないことである。
故意に間違いを犯すということは常識では考えられない。
したがって、法的に問われる間違いでなければ、組織内でペナルティを課すことはせず、インシデント・アクシデントの報告を今後の改善につなげるという姿勢・方針が貰かれている。
1日平均約6件のインシデント・アクシデント報告が行われているというのは、小さなミスや事故に至らずとも危険を感じた事象など、病院内に存在するヒューマンエラーの芽を事前に摘み取ろうと、スタッフ全員が気を配っている証拠であり、組織内における報告義務が形骸化していない、評価すべき事柄である。
一般的に企業において、ミスを犯した従業員やその責任者が、 「責任をとって辞める」ということは日常茶飯事であるが、実はこのことが組織にリスク情報とその対処法に関するナレッジを蓄積できない原因となっている。
責任ある職位からの降格や他部署への配置変換ではなく、退職させてしまった場合、ヒューマンエラー発生という経験は組織内の記憶から消し去られてしまう。
まして、そこに組織内での情報公開が行われず、一部関係者だけに隠蔽されれば、再び同じようなヒューマンエラーが発生する可能性もある。
ヒューマンエラーは不可避であることを認識した以上、ヒューマンエラーの発生を程度の大小にかかわらず、組織内で情報共有することが、以降の発生防止につながるのである。
素晴らしい理念を掲げてスタートし、しかも、組織内に存在するセクショナリズムや改革への意識の壁など、過去のしがらみもないゼロからスタートした県立静岡がんセンター。
その構築した仕組みは完璧であるように思えるかもしれない。
実際にはこれらのハードもソフトも現在進行中であり、進化を継続することを公約している。
つまり、一旦構築した仕組みと雖も、常に進化を続け、ヒューマンエラーの防止のみならず、結果的に患者の満足度を向上させることを目指しているのである。
病院内では、スタッフ教育の充実を図表っており、全職員を対象に年6回程度の院内研修会が実施される。
研修は、リスクマネジメントに関するものが中心で、医療行為のみならず、訴訟や法的責任について社会情勢に合わせて研修が継続されている。
病院にとって大きな課題は、スタッフ数の確保である。
きめ細かい患者サービスはもちろんのこと、ヒューマンエラー防止体制には、人手の確保が重要である。
人手不足の中で長時間労働が慢性化し、疲労の蓄積からヒューマンエラーが発生するというのはどの業界にも共通の問題である。
県立静岡がんセンターの場合、地方であるがために東京とは違い看護師の確保に苦戦している。
新卒者は比較的確保可能であるが、がん医療の経験があるベテランがなかなか集まらず、病床拡大ペースは当初計画よりも遅れているのが実状である。
また、当初は専門の医療技術者も静岡の地域だけでは確保できず、全国から公募で人材の確保を行った。
バックグラウンドの異なる医師が集まったため、診療方針に関する意思統一を図るのには多くの時間を要した。
世界一の人件費大国となった日本の企業は、かつて聖域とされてきた人件費のリストラにも着手している。
雇用形態の変更による事実上の給与削減、機械化やIT導入による従業者の削減など、雇用の過剰解消が進められる。
顧客や従業員の安全を守るために必要なスタッフ数を充足しない体制は容認されない。
長時間労働から生じる疲労の蓄積と不健康な精神状態によってヒューマンエラーが発生することは容易に想像できる。
必要なスタッフ数の確保、すなわち人件費というコストをかけることもヒューマンエラー防止のためには必要であり、必要不可欠なコストとして見積もっておかなければならない。
最新鋭の医療機器をはじめ、 IT技術を駆使した仕組みの数々は、当然のことながら多額の費用がかかる。
ハード面およびソフト面にわたり、安全性を最優先させた十分な設備を構築できるかは、この費用をどう捻出できるかにかかっている。
一般に、企業であれば、将来の設備投資のために利益を蓄積するか、必要な設備投資のための資金調達を行かの2つの方法により費用を捻出する。
この資金調達には市場からの直接金融か、金融機関を通じた間接金融がある。
寄付金や補助金といったことも考えられるが、病院の資金調達ルートは間接金融が主流であり、銀行融資に依存しているのが現状である0 診療報酬アップが見込めない中で、医療機関の経営はそれほど安泰ではない。
中には人件費を削って、人手不足をしのぎながら診療を継続している病院もある。
一部には規制緩和に対応して、保険外診療の対応を増やすなど、自主的な経営安定化策に乗り出す病院もある。
また、資金調達に関しても、病院債の発行やPFI方式(民間資金を活用した社会資本整備)を導入する医療法人もあり、資金調達方法は多様化しつつある。
こうしたケースは医療制度改革が進む中でのごく一部の取り組みであり、医療機関の設備投資資金の調達はさほど容易とは言えない。
ヒューマンエラーの防止には、組織として体系立てられた取り組みが必要である。
紹介した県立静岡がんセンターでは、リスク情報を組織の内外から収集する体制を整え、その情報を組織内で共有し、蓄積し、個人の経験や勘を組織のナレッジとしている。
この仕組みがうまく機能するために、ミスを犯したという悪い情報も隠蔽せず報告できるようにし、一方でITを活用して情報の交通整理を効率的に行い、その仕組みはハードもソフトも常に進化を続けることを公約している。
まさに「組織力」であり、この組織力がリスクマネジメントの鍵なのである。
映画のヒット次第というキャッシュフロー構造であることがわかる。
その上、ヒット確率は概して低く、ハイリスク案件との認識が強まると、当然のことながら最もキャッシュを必要とする段階での資金調達が困難となるのである。
マーケット事情から、興行収入の増加は期待が薄いといわざるを得ない。
それならば、どうすれば映画ビジネスにまつわるさまざまなリスクを低減することができるのだろうか。
そこには金融商品を組み合わせたリスクマネジメント術が存在する。
これに関しても、収入の減少分を補償してもらう「保険」というアプローチではないことが重要である。
観客動員数を確保する手段は、保険でもなければ、関係者を強制的に映画館に導くようなことでもない。
これまで見てきたように、映画ビジネスでは、映画が劇場公開される前段階、すなわち映画制作から配給までに最も多額の資金を必要とする。
その費用はビジュアルや特殊効果を施す作業が複雑化していることに加えて、制作にかかる期間が長期化すればそれだけ金利も含めて費用が増加する。
したがって、制作決定時の資金調達に際して、制作会社または配給会社がすべてを負担するのは相当な財務力及び信用力を必要とすることから、資金の出し手を複数に分散または同時に小口化することがリスク低減策である。
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